浜松市の医療奨励賞を頂くこととなりました


年の瀬も押し迫ってきました。
当院でもインフルエンザの方がちらほら、出るようになってきました。
今年も例年並みに流行してしまうのでしょうか。
皆さん、手洗いやうがい、マスク着用を徹底しましょう。

浜松市の医療奨励賞を頂くこととなりました本日も患者さんから沢山の祝福のお言葉を頂きましたが、本年度の浜松市医療奨励賞を頂けることとなりました
先日、中日新聞に掲載されていたようで、本日やっとその記事を手に入れました。

今回の受賞は、浜松市医師会長の滝浪先生、胃がん検診委員長の大久保先生など、多くの方々のご理解とご推挙があってのことで、心から感謝をしております。

賞を頂くこととなった内容というのは、
浜松市の胃がん検診の現状と今後について です。

ご存知の通り、浜松市は2年前より胃がん検診に内視鏡検査を取り入れました。それによって、胃がん検診全体の受診者は従来のX線のみのときと比べて約2倍に増加しています。

がんの発見率も向上して、いいことずくめなのですが、本当のところ、そのことで喜んでばかりはいられないのです。
それは今、胃がん検診は大きな変革時期にある からなのです。

浜松市の医療奨励賞を頂くこととなりました胃がんはピロリ菌という菌が胃に感染し、慢性胃炎が起きた粘膜から発生してくることが解明されてきています。

そこで、現在はピロリ菌感染の有無や胃炎の状態を血液検査で調べる検診(胃がんリスク検診)を活用しながら、効率的にがんを発見していくという考え方が主流になりつつあるのです。

30歳代、40歳代といった若い世代でピロリ菌保菌率が減っていることから、その流れを組み入れていかないと、いくら受診率を挙げても発見率が下がってしまい、早晩、胃がん検診自体が費用対効果の低い検診になってしまうのです

税金の無駄遣いにならないように、浜松市も効率的な胃がん検診システムの導入をしていきたいところですが、胃がん検診として胃がんリスク検診を行うことにはいろいろな問題点がありました。

一番の問題は、がん検診と称する以上、がんがあるかないかが判る検診を行う必要があるわけですが、ピロリ菌や胃炎の状態を血液検査で調べるだけでは、がんが発生してくる可能性はある程度判っても現在がんがあるかどうかが判らないことです。

がんが今あるかどうかが判らない検診を、がん検診として自治体が認めてもらえるとは到底思えません。
そこで現行のがん検診を運営していきながら、がん検診とは別建てで、
若い世代からピロリ菌感染を調べる検診(ピロリ検診)  を提案したのです。

ピロリ菌感染率が高く発がん率が高い高齢の世代は従来通りがん検診で、ピロリ菌感染率が低く発がん率の低い若い世代はピロリ検診を行うことで、胃がんの早期発見だけでなく将来的な予防までやってしまおうということです。

そこには、現行制度の変更や予算などなど..様々な問題が立ちはだかっていることは浅知恵の私も承知しています。

それでも何とか我々専門医は、胃がんを日本から撲滅したいと考えており、そのために必要な行程を私たちが提案していかなければいけないと思っています。
そんなこんなで、受賞の喜びよりも、これからのことで頭が一杯というのが正直なところです。

微力かもしれませんが、今回の論文をベースにいろいろな議論をして、効率的な胃がん検診の実現に向けて、少しずつでも前進していきたいと思います。

 幸田クリニック



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