コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキル
めっきり秋めいて来ました。

雨さえ降らなければ、一年で一番過ごしやすいシーズンのように思います。
スギの花粉も飛ばないし..

そんな中、最近、北斗晶さんの乳がん告白や川島なお美さんが闘病むなしく他界..といった、がんに関する話題が多く取り上げられています。

12人に一人の女性が乳がんになる可能性があるといった統計データも大事ですが、働き盛り、子育て盛りの若い方が、がんのために志半ばでこの世から去ってしまうことへの悔しさ・悲しさをきちんと伝えることが大事ではないかと思っています。

我々、NPO法人浜松は今年も10/1に浜松城をピンク色にライトアップしたキャンペーンをやりましたが、ライトアップするという話題性のほうが勝ってしまって、検診に足を運ぶという肝心の部分がキチンの市民の皆さんに伝わったのか..というと???です。

そんな中、検診とは多少次元が違いますが、日経メディカルという我々の業界で会員だけが見られる記事の中に、北斗晶さんが主治医から受けたがんの告知と川島なお美さんが受けたものが、ブログから引用されて載っていました。

その中で、川島なお美さんが受けたという告知の内容が、とても残念に思いました。
その内容を以下に引用します。

***************

「とりあえず
切りましょう」

私「いいえ
良性かもしれないのに
外科手術はイヤです」

「ならば
抗がん剤で
小さくしましょう」

私「悪性と決まってないのに?
仕事が年末まであるので
それもできません」

「ならば
仕事休みやすいように
悪性の診断書を
書いてあげましょう」

は~~???
(病理検査もしてないのに!)

もう
ここには
任せられない!!

****************

かなり無責任で軽い印象を受けてしまいますね。
話の前後の成り行きが解らないので、実際の内容がどうであったかは定かではありません。

しかし、ご本人がこのような受け取り方をしてしまったということは事実であり、その後の治療に大きく影響を与えたことは言うまでもありません。

私も専門医の端くれですから、胆管がんの確定診断は容易でないことは重々承知しています。
しかし、この内容は、多くの検査で胆管がんが高率に疑われ、手術をすべきという結論が出た段階での話と推察されます。

きっと目の前の患者を何とか助けてあげたい..という主治医の思いがご本人に伝わらなかったのか、主治医にその思いが希薄だったのか、そのどちらかなのでしょう。思いが希薄だったとは同じ医療従事者として思いたくありません。

でも、うまく伝わらなかったとすれば、それは医師のコミュニケーションスキルの問題です。

どうやって目の前の患者さんに病状を説明し、治療の必要性について納得してもらうか..

患者さんは皆、自分が病気、しかも「がん」だとは信じたくないので、最初はショックを受け、その事実を拒絶しようとします。
その後に、徐々にその事実を受け入れ、聞く耳を持ってくれるようになるものです。

そういった時間的経過の中で、主治医がもっと丁寧な告知をして、川島さんが納得してその後の手術、治療をきちんと受けてくれていたら、もう少し違った結果になっていたかもしれない..  そう思うと、とても残念でなりません。

以下に北斗晶さんが受けという告知を引用します。

**************
「胸の事よりも今は5年先、10年先、生きることを考えましょう。」

生きること。

こう言われた時に初めて、今の自分は命さえも危険な状態なんだと分かりました。
そういう病気なんだと。

**************

たった一言ですが、きっとこの主治医は北斗さんを説得するだけの熱意とそれを伝えるスキルを持っていたのだと思います。

自分も患者さんを救ってあげたいという熱意と北斗さんの主治医のように大事なことタイミングよく言えるスキルを持った、そんな医師でありたいと思っています。

川島なお美さんのご冥福を心からお祈りいたします。

 幸田クリニック



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