秋らしい季節となり、朝夕の気温が低くなっているせいか、風邪の患者様が多くなっています。
中には体温が36度台にもかかわらず、インフルエンザかもしれないから検査をしてほしいという方もいます。いくら、新型インフルエンザが熱があまり出ないからといって、37度以下でインフルエンザを疑うというのは些かマスコミに脅かされすぎている印象もあります。検査の結果を報告しないと、職場や学校に行けないといわれてしまうと迅速検査は行っておりますが..
風邪が多くなってくると、置き薬で葛根湯があったので3-4日服用していたけれども、全く効かないので病院に来ました..という方がいます。やっぱり漢方薬は効かないね~といわれると、ちょっと複雑な気分です。
「風邪には葛根湯」とは誰が言ったかは知りませんが、
葛根湯は時期を選んでうまく服用すれば、とてもよく効く漢方薬なのです。問題は時期と服用法にあります。
まず、時期ですが、風邪の初期で背筋~首筋にかけて軽く寒気がするような時期に限定されます。
熱っぽくて全身がじっとり汗ばんでいるような時期には、いくら飲んでも効きません。
それから服用法ですが、
葛根湯は一発療法の薬ともいわれ、何日も飲むのではなく、数時間でケリをつける薬なのです。個人差があるので推奨はできませんが、私が使う場合には、1回服用量を白湯で10分間隔位でガンガン服用していきます。3-4包飲んで体がポカポカしてきたら、熱いお風呂に10分位入って一気に布団に直行します。そうすると、絞れるくらい汗がびっしょり出て、熱も下がり気分もすっきりしてしまいます。不思議とその後は熱が出ることもありません。
葛根湯というのはもともとストライクゾーンの狭い薬だと思います。風邪の初期でも寒気が来ないような風邪にはあまり効きません。もう少しストライクゾーンの広い漢方薬として
参蘇飲や
麻黄附子細辛湯といった漢方薬があります。置き薬としておくなら、そちらの方がお勧めかもしれません。でも効き目は葛根湯には敵いません。葛根湯が効いたときには本当に一晩で風邪が治ってしまいます。
何を隠そう私は昨日の夜、風邪で発熱をして今日仕事ができるのか心配でしたが、葛根湯を服用して一晩でケロっと治ってしまいました。
よく週末が旅行だからそれまでに何とか治したい..といって来られる方もいます。風邪の初期で寒気があれば、葛根湯を重ね飲みしてドバっと汗をかけば一晩で治せるかもしれません。但し、私が行っている服用法は添付文書には書かれていませんので、その点はご了解ください。
幸田クリニック