新型インフルエンザワクチン~末端の診療所の窮状

新型インフルエンザワクチン~末端の診療所の窮状 私のクリニックのある浜松市南区でも新型インフルエンザと思われるA型インフルエンザの方が急増してきました。それとともに、新型インフルエンザワクチン接種に関する問い合わせも急増しています。

 本日のお問い合わせの内容の中に、
今日の朝刊に
11月16日から小児の新型インフルエンザワクチンの予約が開始されるということですが本当ですか?
というものがありました。

 私も11月に入って余分なことを言ってはいけないとブログも更新せずにいましたが、このときばかりは奥歯が歯ぎしりで欠けてしまいそうになりました。質問をして頂いた方に対してということではありません。今回のワクチンの供給体制に対してです。

 マスコミでは新型インフルエンザ接種が始まったといって、接種している映像が盛んに流れていますが、一番最初に接種を許された医療従事者でさえワクチンが接種できていない方が大勢いる状況なのです。ワクチンの供給は一番最初の段階から後手を踏んでいるのです。
 病気を持った方への接種についても、浜松市では各医療機関毎に、10月26日までに通院患者さん中から早急に接種が必要な患者数を提出しています。当院では最優先接種者分として35名分をお願いしていますが、11月20日までに納入されてくるワクチンは22名分で不足分の納入は未定との回答を頂きました。現在、より優先度の高い方から22名分を先に接種すべきか、不公平をなくすため35人分が揃ってから接種すべきか検討しているところです。

 そんな折に小児の接種を内科で少しでもやってもらえないかという提案がありました。当院は小児科を標榜しておりませんが、小学生以上の年齢であればインフルエンザかどうかなどの日常診療は行っております。数少ない小児科が大勢のインフルエンザ患者の対応でパンク状態となっており、その混雑を少しでも解消すべく行っているものです。
 そういった背景もあって、当院では健常な小児に対するインフルエンザワクチン接種を行うことを決めました。しかし、小児に接種する分のワクチンの入荷が全くもって不確定な状況なのです。そんな折に今回の報道があったのです。
私は心から不思議に思います。
なぜ、ワクチンが足りていない現状をもっときちんと報道して頂けないのでしょうか。

 こういった思いは当院だけではなく、少なくとも浜松市ではすべての医療機関で同様だと思います。
この際だから言いますが、他にも疑問は山積みです。

ワクチンがいつどの程度入荷されるか、どうしてもっと事前に連絡してもらえないのでしょうか? 

なぜワクチンが足りないことを判っていながら予約を開始するなどという情報をマスコミに公表するのでしょうか?

ただでさえ日常の診療に差支えが出るほど混乱しているのに、さらに混乱を招くようなことをするのでしょうか?

 私も5歳と9歳の子供の親です。大事な子供にワクチンを接種してあげたい気持ちは解ります。しかし、我先にと皆さんが動けば混乱が余計に拡がるのです。騒いでも喚いてもワクチンは絶対的に不足しているのです。どうしてワクチンが足りないんだ!という憤まんやり方ない思いは我々医療従事者も同じです。私たちがどこかに隠し持っている訳ではないのですから。

 現状ではインフルエンザにかからないよう予防を徹底したり、かかってしまった疑いがある場合にどこの病院に連れていくのかといったことをきちんと家族で話し合っておいて頂くことのほうが現実的ではないでしょうか? 
 ワクチンは小学3年生以下のお子様であればいずれ接種できるようになります。2月頃やってくるという新型インフルエンザワクチンの流行(第二波)に向けて接種ができていればよいと思われます。今は一刻を争うような状況では決してないのです。

 一部の報道によって医療の現場がこれ以上混乱しないことを望んでやみません。どうかこの長い文章を飽きずに読んで頂いた皆さん、どうか冷静に対処してくださるようお願い申し上げます。

幸田クリニック



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