ピロリ菌の除菌について

 当院の桜もさすがに満開となり、庭の草花も一斉に咲き誇っています。
ピロリ菌の除菌についてピロリ菌の除菌について
 この時期は気候もよく、過ごしやすい季節ですが、何故だか胃腸の調子を崩す方が多くおられます。胃・十二指腸潰瘍もこの時期に多くみられます。新年度のストレスなのでしょうか? それとも寒暖の差が激しいので自律神経失調に陥りやすいのでしょうか?

 今回は胃・十二指腸潰瘍に関連した話題で、ピロリ菌感染についての話題です。
ピロリ菌の除菌について
 最近、外来にも「ピロリ菌がいるかどうか調べて欲しい」「ピロリ菌がいるといわれているので除菌して欲しい」という方が多く来られます。ピロリ菌が胃癌の発症に関わっているという記事が新聞などに数回に渡って取り上げられているからだと思います。
 しかし、現状で保険診療の中でピロリ菌を除菌しようと思ったら、胃・十二指腸潰瘍の方、またはその既往のある方しかできないことになっています。これをお話しすると皆さん怪訝な顔をされますが、これは現状の決まりですので私では何とも出来ません。勿論、自費ですべてOKということであれば、是非除菌していただきたいと思っています。自費だと、薬代も入れて1万円程度になると思います。

 つい先日も当院の掲示板に鋭いご質問がありましたので、その内容を以下にご紹介します。
ご質問
ピロリ菌の除菌について  先日(2009.1.23.)NHKニュースで日本へリコバクター学会が新しいガイドラインを発表したとして、ピロリ菌に感染した場合「ヘリコバクターピロリ感染症」として取扱い、現在潰瘍がないと保険適用にならないが、潰瘍などがなく、症状がなくても除菌治療を強く勧めると報道されていましたが、保険適用になりますか?私は、内視鏡検査で胃炎との診断で、そのDrにピロリ菌の感染によるものだろうけど、保険適用にならないから様子観察でとのことで治療を受けていないのですが、いつ頃から保険適用になりますか?
私の考え
ピロリ菌の除菌について ヘリコバクター学会は、今回が初めてではなく以前から同様の見解を示しており、私個人としても現行の消化性潰瘍・一部の悪性リンパ腫以外での保険適応を待ち望んでおります。
 但し、慢性胃炎を起こす原因はピロリ菌のみならず、飲酒・喫煙・塩分多量摂取など様々なことがいわれており、ピロリ菌のみに限定できない点が問題です。あと、●●さんのように無症状で胃炎のみが確認されている方への除菌の主目的は、将来的な胃がん発症率を低下させるということだろうと思いますが、何歳くらいまでの方に除菌適応を持たせるかという問題もあります。除菌した方がよいことは、官僚の方々も判ってはいるとは思いますが、無条件に除菌OKとなるためには色々なハードルが待ち構えているというのも事実だと思います。
 医療保険の改訂は2008年4月に行われており、2年に1度行われるので次回の改訂は2010年4月となります。保険適応が認められるとすればそのタイミングであろうと思われます。それまでに学会側としては、除菌することへの更なる医療経済学的利点を示す必要があるでしょう。そして、患者さん側からは保険適応を求める様々な社会活動が必要になるでしょう。

 そうです。ピロリ菌保菌者の皆さん。皆さんも協力して何とか除菌が保険で認められるように頑張りましょう。

幸田クリニック






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