漢方薬が病院で処方できなくなる? その1

漢方薬が病院で処方できなくなる? その1 先日までは連日のように事業仕分けのニュースが報道され、民主党政権になって政治が変わっているという実感が湧いています。蓮舫参議院議員の鋭い質問に官僚の方たちがタジタジになっている様子ばかりがクローズアップされていますが、いろいろな事業の無駄が省略されていく様子は、税金を納める一般国民からすれば「徹底的にやってくれ!!」と思うところで、今後打ち出された方針が予算編成の上で実現するよう見守りたいところです。

 そんな中、我々医療業界にとって、大きな問題も議論されました。漢方薬の処方を保険診療から外すというものです。来院患者の半数以上の方に漢方薬が処方されている当院にとっては、それらが処方できなくなるかもしれないということで重大な問題となります。外されることになった要因というのは、「万人が効果が得られない薬であるから云々..」などと理由付けされていました。

漢方薬が病院で処方できなくなる? その1 漢方医学は現在、大学医学部の教育カリキュラムに組み込まれており、これから再興が行われようとしている段階です。海の向こう米国では、日本以上に漢方に対する興味や臨床的データが大きな学会で取り上げられ発表されています。世界的にも西洋医学一辺倒では行き詰まりを感じており、何かそこを打開するツールが模索されているのです。そこで注目されている一つが漢方薬なのだと思っています。

 実際に処方をしていて、同じ薬が万人に効かないのは確かにその通りです。漢方薬は体質や症状などからと呼ばれる状態を判断して処方を決定していきます。決して西洋医学のように病名を決めてから治療をする訳ではないのです。

 胃が痛いと言って受診された方が、内視鏡検査で何も異常がないと、病名が付かずに幾ら痛くても治療が進まない..というケースは山ほどあります。当たり障りのない胃薬だけを処方されて、「症状も改善せずに何年も服用している」、または「治らないので何件も病院を変えて受診している」、といった方を開業以来どれだけ診てきたことでしょう。それらの患者さんは決まって西洋医学的治療しか受けてこられていない方です。そんなそんなときに、視点をかえて漢方治療の観点からみると、沢山の異常がありそれに沿って治療を行うことで、症状を軽快させることが出来るのです。勿論、全員という訳には行きませんが..

私に言われせれば、効果が出ないにもかかわらず、「そのうち治るでしょう..」とか「気のせいでしょう..」といわれて、何年も薬を継続して服用していること自体が無駄な気がしますが如何なものでしょう?



同じカテゴリー(日記)の記事
休診のお知らせ
休診のお知らせ(2016-06-07 00:40)

写真一覧をみる

削除
漢方薬が病院で処方できなくなる? その1