朝晩の涼しさはめっきり秋を感じさせます。
クリニックの改修・改装工事も順調に進んでおり、予定通り何とか今週中で終わる予定です。
皆様には期間中、大変ご不便をおかけして申し訳ありません。
来週、9月24日月曜日からは通常通りの診療を再開いたします。
スタッフ一同、気分を新たに頑張って参りますが、今まで以上に、患者さんの目線でできるだけいろいろな対応ができるようにしていきたいと思っています。来院された患者の皆さんも、スタッフにお気づきの点や改善してほしい点など、何なりとお伝えください。
さて、9月に入って、
ピロリ菌関連で大きな変化がありました。
残念ながらテレビのニュースではほとんど取り上げられていませんが..
それは、
ピロリ菌の除菌治療の薬を販売している製薬メーカー9社が、合同でピロリ菌感染胃炎に対する内服治療について保険適応の追加を申請した
というものです。
プレスリリース
現状では、ピロリ菌感染が判明しても、単なる胃炎のみでは保険診療の中で除菌治療ができません。
胃・十二指腸潰瘍、早期胃がんの内視鏡治療後などの特定の病気の場合のみ、保険での除菌治療が認められていました。そのため、胃炎ということのみで除菌を希望される方は、自費で除菌治療をさせて頂くしかありませんでした。
ピロリ菌に感染して慢性胃炎になると、将来的に胃がん発生リスクが高くなることが判っており、それを減らすために何とか早い段階で除菌治療をしたいというのが我々専門医の願いでもありました。
ピロリ菌を研究している専門家たちは、以前から声高に胃炎段階での除菌治療の保険適応を求めてきており、それに呼応する形での今回の申請と思われます。
除菌対象者は40歳台では30-40%、50歳台では40-50%いるとも言われいます。それを全員除菌するとなると、医療費が更に高騰してしまうという一面もありますので、今回このタイミングで申請が通るかは五分五分かもしれません。しかし、厚生労働省も今まで敢えて触れずにそっとしていたところにスポットが当たり、今後、世間(実際の患者さんや診療している医師)の動向を注目していることと思います。
現状で胃がん死を撲滅していく早道、それはピロリ菌の除菌が一番と考えます。
検診はピロリ菌による慢性胃炎が起こってしまっている人たちが行っていけばよいのです。
現在、私は浜松市の胃がん検診の運営に携わっていますが、20歳台、30歳台の段階でピロリ菌感染を調べて除菌をしてしまうようなシステムが一連の胃がん検診システムの中で導入できないかといった議論も始まっています。
いずれにしても、今回の出来事は10年後、20年後の胃がん死亡を大きく減らしていくことが出来るかどうかの瀬戸際であることは間違いないと思います。財源だけが問題で先送りになれば、それだけ日本から胃がんが減る時期が先延ばしになるのです。
今お金がかかっても、将来胃がんになる人が減れば、その時の医療費は安く済むのです。少しでも早い段階での承認をお願いしたいものです。
皆さんが、このニュースにもっと注目をして頂くことを切に望みます!
幸田クリニック