
まだまだ、暑い日が続きます。
9月1日は防災訓練の日。何とか午前の診療を終えて、指定の応急救護所に駆け付ける予定だったのですが、東陽中学校と南陽中学校と場所を間違えて結局参加できず。猛暑の中をひたすら歩きまわって散々でした。もとはと言えば、集合場所を間違えた自分が悪いのですが、ここのところの猛暑の凄まじさを肌身で感じた一日でした。
最近、当院では食道がんに対する問い合わせや検査依頼が相次いでいます。
歌手の桑田圭祐さんや指揮者の小澤征爾さんなどが食道がんの告白をされたことの影響が強いのかもしれません。
よくある質問は、
・毎年胃癌検診をしていれば食道癌は大丈夫ですか?
・昨年、内視鏡をしているのですが、食道癌が心配なので今年もやった方がよいですか?
などです。
まず、
胃癌検診のバリウム検査ですが、その検査で早期の食道癌を見つけるのは至難の業です。
よほど運が良くなければ難しいと言わざるをえません。進行がんであれば話は別です。
それから、昨年内視鏡検査をしているといっても、食道をどのように見ているのかが大事です。
実際のところ早期食道がんと言うのは、我々専門医ならともかく、一般に内視鏡を1日数件程度やっているだけではあまりお目にかかることは少ない病気なのです。というか
早期のものは、見逃されているために出会っていない可能性が高いのです。
当院で経験した例で解説しましょう。
60歳台の男性で、食道がしみるような感じがするので内視鏡を希望されて来院しました。
半年前に他院で内視鏡検査をしているようですが、心配になったということで再度検査を希望されました。

写っているのは食道の写真です。この写真は食道がんがあると認識して写しているので、ある程度写っていますが殆ど盛り上がったり窪んだりしていないので、認識が難しいと思います。
全然分かんない!という方が多いことでしょう。それもそのはず。私だって何度先輩の先生に、「お前の眼は節穴か!」と怒られたことか.. そうやってやっと解るようになったのです。

それでは正常と見比べてみましょう。何となく解りますか?
やっぱり解りにくいですよね。

実際に食道がんの場所を矢印で示しました。実はとても大きな病変だったのです。
幸いにして、病変が深く入っていなかったため、この方は内視鏡的に切除することが可能でした。
でも、こんなに
広くて大きい病変でも初期の段階では見逃されることがあるのが食道がんなのです。
つまり、内視鏡をしていれば食道癌は大丈夫ですか?という問いには、どんな検査方法をしたのかということが大事というのが答えです。
食道がんを見落とさない方法、それは特殊な検査法をしているかどうかです。
それは
「ヨードを使って食道を染色する方法」と
「狭帯域光(NBI)という光を使った方法」です。
そういった方法で食道癌をきちんとチェックしてくれていれば、まず大丈夫だと言えるでしょう。
残念ながら、こういった方法は普及しているとは言えません。人間ドックなどでも事前にお願いをしておけばやってくれるところもあるかもしれませんが、通常はあまりしていないことが考えられます。
当院では食道がんの見落としを少なくするべく、特殊な検査も積極的に行っております。
心配な方は是非お問い合わせください。
幸田クリニック