梅雨明け! 本格的な夏到来。

こうだ

2010年07月20日 12:52

 今年の梅雨は全国各地で豪雨が相次ぎ、ニュースで見る限りですが、被災された方々が数多くいらっしゃるようです。被災された各地の一刻も早い回復をお祈りいたします。
 天竜川が近くにある当院としても他人事とは思えないように思います。少なくとも私が生まれてから40年余りは天竜川の堤防が決壊したなどという話は聞きませんが、浜松も下水処理能力は1時間で50mm程度までの降雨量を想定しているということで、1時間で100mmを超えるような豪雨では下水や農業用河川が氾濫して洪水になってしまうことが想定されます。

 当院では完全電子カルテのため、サーバーなど電子機器が水につかってしまうと暫く診療ができなくなります。もしもの時のために、バックアップは当然行っていますが、サーバーの設置位置も考えておかなくてはいけないと思っている今日この頃です。

 さて、夏になると決まって増えるのが食欲不振、下痢、倦怠感など夏バテの症状を起こす患者さまです。夏バテの予防の対策は昨年のブログ(夏に弱い方必見!夏バテ予防法)で紹介してきました。夏バテのような症状の方の中にも、少し疑問を感じる方がいます。たとえばAさんは..

 Aさん 54歳 男性 
 倦怠感、食欲不振などを主訴に点滴を希望して来
 春先から、テレビで毎日水を2L~3L飲んだ方がよいということで、ペットボトルを持ち歩いてこまめに水分摂取をしているとのこと。最近は水を飲むのもあまり心地よくないが、それは健康のためと水を冷やして毎日欠かさず飲んでいると。
 仕事は事務的なことがメインで、殆どエアコンの中にいることが多く、運動は月に1-2度のゴルフ程度。夜中にトイレに2-3回起きてしまって、寝苦しさと共に不眠も続いているとか。

 この方は、舌を見ると歯形がくっきりとしていて、漢方でいうところの「水毒」という状態です。これは体の中に水分が余っていて、余った水分が浮腫み・頻尿などの症状を起こすようになっている状態をいいます。

 「水毒」の原因は体質もあるかもしれませんが、普段からのむやみな水分の取りすぎもあるように思います。汗を沢山かくのであれば、水分を多く取ってもかまいませんが、事務職であまり普段から汗をかかず、運動の習慣もあまりないのであれば、デトックス効果を狙って水分を沢山とっても出て行く場所がありません。こんな方に点滴をしてさらに水分を入れれば余計に具合がおかしくなってしまいます。

 ご本人を説得して、頑なに取っていた水分摂取を止めてもらい、食事と食後のお茶程度の水分とし、半身浴などをして少し長めに風呂に入って汗をかくことから始めてもらいました。喉が乾いたら水分はとっても良いこととしました。お薬は五苓散という漢方薬を使用しました。

 夜中のトイレの回数は起きても1回程度となり多少眠れるようになり、食事も徐々に食べられるようになって元気が出てきたということで、1週間程度の治療で回復されました。

 このようにテレビでよいという言っているから..という理由で始めたことが、かえって具合をおかしくするというケースは少なくありません。常識的に考えて、この高温多湿な日本で、水分を沢山取るということが本当に良いこととはあまり思えません。乾燥して雨の少ない国などでは解らない話ではありませんが、ただでさえ日本人の多くは水毒傾向があると思います。このような国でむやみに水分摂取を奨めるのは如何なものかと思います。運動や仕事で汗を毎日大量にかく方は問題ないと思いますが、「過ぎたるは及ばざるが如し」です。水分摂取は適度に行ってください。

幸田クリニック

関連記事