小学生とのふれあい

こうだ

2009年07月18日 23:46

 去る7月2日、浜松市内のとある小学校で話をさせてもらう機会がありました。最近の小学校には「総合」という授業科目があり、その中で社会見学をしたり、いろいろな職業の方を呼んで話を聞いたりする時間があるそうです。その一環で6年2組の生徒さんを対象に「医者とは?」という題目を頂き講義をしてきました。

 40数名の生徒の皆さんを前に生まれて初めて教壇というものに立ちました。まず最初に、小学6年生の純粋な澄んだ瞳に圧倒されました。どんなことでも吸収してしまいそうなその眼に見つめられ、下手なことは喋れないというプレッシャーが襲ってきて、何ともいえない滝のような汗をかきながら45分間の授業を何とか終えました。餅は餅屋と言いましょうか、あの澄んだ瞳の前で毎日授業を行う学校の先生とは本当に大変な職業だと解りました。

最初は上着を着てやっていたんですが..



だんだんと生徒の皆さんの視線に押され、タジタジです。本当に先生というのは大変な職業だと感じました。

最後の方は疲労困ぱいでした。
生徒の皆さんはあくびもせず、真剣に話を聞いてくれました。

 細かいことはいろいろありましたが、私が小学生に伝えたかったことは以下のことです。
・医者の役割は命を救うことではなく、「生きたい」「元気になりたい」と思う人たちを手助けすること
命を救うのは結果であって仕事ではないと思っています。治すことのできない病気も世の中には沢山あり、病気が治せなくても手助けできることもあります。医者は命を救うのが当たり前という先入観が今後の日本の医療を窮屈でねじ曲がった方向に向けていく気がしてなりません。
・医者は一人では何もできない
周りで助けてくれる看護師さんや他のスタッフがいるから私も幸田クリニックで仕事ができるのです。ドラマで一人の医者が何から何まで自分でやってしまうシーンがありますが、そんなことができる医者に私は出会ったことがありません。
・医者になるまでの勉強より医者になってからの勉強が大事
医学部に入るところまでが目標で燃え尽きてしまっては世の中によい医者は生まれません。例えビリで入学・卒業しても医者になってから一生懸命勉強して信頼される医者を目指して欲しいものです。自分もまだまだこれからですが..   

 講義の前に見せてもらった質問票には

・医者って儲かりますか? 
・大変そうだからあまりなりたくない。 
・頭が良くないとなれないから無理?偉い人で恐そう..


といったものが多かったのですが、講義の後のものには

・医者のイメージが変わった
・大変そうだけど医者になってみたいと思うようなった
・頭がよくなくても医者になれることがわかった?

といった感想を頂けました。とりあえず小学6年生の固定概念の破壊には成功した感じです。

彼ら彼女らの中から、医者を目指す人が増えて、今の日本の医療を少しでも良い方向へ変えてくれる力になってくれたら思うと、今後もお話を頂けたら是非またやってみたい思っています。本当に貴重な経験をさせて頂いた担任の先生に感謝いたします。

 とはいえ、講義が終わって家に帰って飲んだビールは格別でした! 

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